読書三昧

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【おすすめ書籍 99】中澤務監修『小さなラテン語図鑑』(三才ブックス)

都内書店にある「図鑑の本棚」で見つけた一冊。初版は2024年11月。見出し語と見出し語のルーツとなったラテン語を併記、それに関わりのある絵画作品や写真を添えた構成となっています。静かなブームが長く続いているラテン語の魅力が溢れています。巻末にはラテン語の名句がいくつか紹介されていますが、その中のひとつ。「Festina lente フェスティーナー・レンテー ゆっくり急げ」 初代皇帝アウグストゥスの座右の銘。「結果を出すためには、慌てず慎重に」と同時に「遅すぎると結果が出ない」、という意味が込められています。
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【おすすめ書籍 98】ラテン語さん『日本はラテン語でできている』(SB新書)

著者のラテン語さんは高校生からラテン語の勉強を始めている方ですが、そのきっかけは本書にも登場する「ある地図」との出会いだったようです。人の関心を広げるきっかけをつくる空間や事物との邂逅は、時空を超えて奇跡的にさえ思えます。本書には47都道府県それぞれにラテン語にまつわる話が北海道から沖縄県まで記述されています。日本の各地には第二のラテン語さんが生まれるきっかけとなる事物が確実にありそうです。
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【おすすめ書籍 97】フランク・パヴロフ 藤本一勇訳『茶色の朝』(大月書店)

大学同期のS君から紹介。フランク・パヴロフのストーリーにヴィンセント・ギャロの絵が挿入されている31ページの本文と高橋哲哉による14ページのメッセージで構成されている本書は、版元や関係者の熱意が伝わる日本オリジナル編集版となっています。猫や犬から新聞・ラジオまですべて茶色になっていく物語。いつの時代でも、どこの国においても「茶色の朝」がやってくるかもしれません。戦後80年平和だった国でも例外ではないのです。「思考停止をやめること、考えつづけること」の必要性を説いた哲学者高橋哲哉のメッセージが心に残ります。
休日ワイン

【おすすめ書籍 96】阿川佐和子ほか『おいしいアンソロジー ワイン』(だいわ文庫)

本書は40人の作家によるワインについてのエッセイを纏めたものです。読了後、普段飲んでいるデイリーワインの「キャンティ」も、より美味しく感じるから不思議なものです。いつの日か村上春樹に倣って、イタリアトスカーナ州に旅をして、気に入ったワインを1ダースほど購入してみたいものです。また埴谷雄高のように、ひと仕事をやり遂げた時にはハンガリーのトカイワインアスズ(トカイ・アス―)で祝杯を、なんて日々にも憧れます。
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【おすすめ書籍 95】寺島実郎『21世紀未来圏 日本再生の構想』(岩波書店)

本書の副題に全体知と時代認識とある。「全体知」とは専門知、総合知を超えた統合された叡智のこと。
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【おすすめ書籍 94】永井紗耶子『木挽町のあだ討ち』(新潮文庫)

木挽町の芝居小屋の裏手で起きた仇討。この時代、芝居町は遊廓とともに「悪所」と呼ばれていました。仇討の目撃者たちの証言から次第にその真相が明らかになっていく構成やラストの驚きも木挽町ならではの仕掛けがあり、見事です。仇討を成し遂げる菊之助とその周りの証言者たちの人間模様が過不足なく丁寧に描かれており、武士の苦悩や「悪所」で働く者たちの人情が心に響く作品となっています。直木賞・本周五郎賞W受賞に相応しい逸品。2026年2月いよいよ映画公開です。この機会にぜひ。
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【おすすめ書籍 93】小川哲『君のクイズ』(朝日文庫)

第76回日本推理作家協会賞[長編及び連作短編集部門]受賞作の本書は、2022年単行本が刊行。直木賞受賞の『地図と拳』と同様に昨年文庫化されました。なぜ対戦相手が問題を一文字も読まれねうちに回答でき、正解し優勝を果たせたのか・・・。
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【おすすめ書籍 92】猪瀬直樹『昭和16年夏の敗戦』(中公文庫)

NHKスペシャル 終戦80年ドラマ「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~」の放送がきっかけに、原作の本書が2025年話題になりました。単行本初版が1983年。著者猪瀬直樹氏30代の作品です。その後1987年に『ミカドの肖像』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞するという脂が乗った時期の一作です。総力戦研究所の若きエリートたちによる模擬内閣が出した「日本必敗」の進言は無視され、なぜアメリカと開戦してしまったのか・・・。著者によるあとがきや石破茂氏との巻末対談の最後まで読み応えがあります。当時から政治家の中でも特に石破氏が本書の内容に非常に関心を示していたことが巻末対談でわかります。2025年石破茂前首相は戦後80年に「談話」ではなく「所感」を総理退任前に出しましたが、なぜ出すことに拘ったのか、またその全文から彼の歴史認識を含め、並々ならぬ思いも伝わってきます。
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【おすすめ書籍 91】外尾悦郎『ガウディの伝言』(光文社新書)

テレビ朝日「博士ちゃん」でサグラダ・ファミリア特番が2回放映されましたので、ご覧になった方も多いことでしょう。番組内の芦田愛菜さんによる著者外尾悦郎氏へのインタビューも素晴らしく、本書を読むきっかけになりました。
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【おすすめ書籍 90】原田マハ『リボルバー』(幻冬舎文庫)

東京都美術館で開催の「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」を観たタイミングで、ようやく本書を読む機会を得ました。ゴッホが自殺に使ったとされるリボルバーを小道具に、史実をベースに著者は妄想?を膨らませ、見事に結実させた小説となっています。ゴッホと弟のテオ、そしてゴーギャンとその家族・・・。本書においても美術展同様に「家族」がしっかりと画家の夢を繋いでいます。本書のカバーはロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵の十五本のひまわりです。この有名な絵にも素晴らしい家族の物語があるのをご存じですか?