読書三昧

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【おすすめ書籍 92】猪瀬直樹『昭和16年夏の敗戦』(中公文庫)

NHKスペシャル 終戦80年ドラマ「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~」の放送がきっかけに、原作の本書が2025年話題になりました。単行本初版が1983年。著者猪瀬直樹氏30代の作品です。その後1987年に『ミカドの肖像』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞するという脂が乗った時期の一作です。総力戦研究所の若きエリートたちによる模擬内閣が出した「日本必敗」の進言は無視され、なぜアメリカと開戦してしまったのか・・・。著者によるあとがきや石破茂氏との巻末対談の最後まで読み応えがあります。当時から政治家の中でも特に石破氏が本書の内容に非常に関心を示していたことが巻末対談でわかります。2025年石破茂前首相は戦後80年に「談話」ではなく「所感」を総理退任前に出しましたが、なぜ出すことに拘ったのか、またその全文から彼の歴史認識を含め、並々ならぬ思いも伝わってきます。
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【おすすめ書籍 91】外尾悦郎『ガウディの伝言』(光文社新書)

テレビ朝日「博士ちゃん」でサグラダ・ファミリア特番が2回放映されましたので、ご覧になった方も多いことでしょう。番組内の芦田愛菜さんによる著者外尾悦郎氏へのインタビューも素晴らしく、本書を読むきっかけになりました。
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【おすすめ書籍 90】原田マハ『リボルバー』(幻冬舎文庫)

東京都美術館で開催の「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」を観たタイミングで、ようやく本書を読む機会を得ました。ゴッホが自殺に使ったとされるリボルバーを小道具に、史実をベースに著者は妄想?を膨らませ、見事に結実させた小説となっています。ゴッホと弟のテオ、そしてゴーギャンとその家族・・・。本書においても美術展同様に「家族」がしっかりと画家の夢を繋いでいます。本書のカバーはロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵の十五本のひまわりです。この有名な絵にも素晴らしい家族の物語があるのをご存じですか?
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【おすすめ書籍 89】柚月麻子『BUTTER』(新潮文庫)

英国で多くの文学賞を受賞した本書は、2025年にダガー賞(英国推理小説作家協会賞)の候補作となったことをきっかけに、日本でもブレイクしています。文庫版カバーを裏返すとイギリス版の表紙を楽しむことができます。男たちを殺害した容疑で逮捕された梶井真奈子の存在感に圧倒されます。彼女への面会を取りつけた週刊誌記者の町田理佳や親友の怜子に影響を与え、その恋人たちを含めて翻弄していく社会派長編小説となっています。
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【おすすめ書籍 88】櫻田智也『失われた貌』(新潮社)

『蝉かえる』で日本推理作家協会賞、本格ミステリ大賞をW受賞した著者初の長編小説です。本格ミステリ&警察小説として一級品の出来映えの本作ですが、バー「ブールバード(広小路)」のマスターと主人公日野との掛け合いは芳醇なハードボイルドとしても大いに楽しめ、シリーズ化が待ち遠しいところです。本書は先日発売されました『このミステリがすごい!2026年版』国内編で堂々の第1位です。乾杯!
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【おすすめ書籍 87】松下幸之助『道をひらく』(PHP研究所)

東京交通会館が60周年を迎えています。その建物の1、2階で営業している三省堂書店有楽町店では交通会館のイラスト入りのカバーがかかった本書が目を引きます。
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【おすすめ書籍 86】加藤陽子『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(新潮文庫)『戦争まで』(朝日出版社)

戦後80年の節目の年ということもあり、ようやく日本近現代史の泰斗、加藤陽子氏の著作を読む機会を得ました。2冊とも中高生に向けての講義集です。小林秀雄賞受賞の『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』にはジャン=ジャック・ルソーの次の言葉が繰り返し紹介されています。「戦争とは相手国の憲法を書きかえるもの」。
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【おすすめ書籍 85】小川哲『地図と拳 上下』(集英社文庫)

第168回直木賞受賞作の本書は2025年夏の一冊として待望の文庫化となりました。人はなぜ「地図」を描くのでしょうか、そして世界はいつまで「拳」を振りかざし、戦争に向かうのでしょうか。本書に登場する戦争構造学研究所は今年NHKでドラマ化もされた原作『昭和16年夏の敗戦』の総力戦研究所を想起させるところもあり、昭和100年・戦後80年の節目の年ならではの繋がりを感じます。深緑野分による解説も秀逸で、繰り返し頁を捲りたくなる作品です。
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【おすすめ書籍 84】河野龍太郎・唐鎌大輔『世界経済の死角』(幻冬舎新書)

『日本経済の死角』の河野龍太郎と『弱い円の正体 仮面黒字国日本』の唐鎌大輔という人気エコノミスト2人による対談が実現しました。昔は世界情勢が危なくなるとドルとともに円も買われたという「有事の円買い」もいまはなく、円が普通の通貨になったようです。
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【おすすめ書籍 83】齋藤ジン『世界秩序が変わるとき 新自由主義からのゲームチェンジ』(文春新書)

新自由主義の経済システムで1番恩恵を受けてきたのが中国です。かつての「日本叩き」のように、アメリカ経済を脅かす存在になった中国にダメージを与えるため、覇権国家アメリカは力業でシステムを変えていくのです。まるでカジノのオーナーがルールを変えていくかのように。トランプ関税はその中の一手に過ぎないのでしょう。著者はその新しい世界秩序で敗者の国が多い中で日本は相対的にいいポジションに行くことが可能である、と説いています。