読書三昧

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【おすすめ書籍 76】『オランダ人のシンプルですごい子育て』日経ビジネス人文庫

「神は世界を創ったが、オランダ人はオランダを創った」という言葉を最初に知ったのは、司馬遼太郎の『街道をゆく オランダ紀行』でした。本書にもこの言葉があり、成人してオランダで生活していたフランス人哲学者デカルトによるものだと書かれています。オランダ人は国土を創った上に、社会的信念をも確立するために戦ってきたという見方です。子どもにプレッシャーを与えない子育てをベースに、自転車専用道路の建設や着衣水泳を課す水難事故対策など社会の中心には子どもがいることが前提であるのがオランダ式のようです。
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【おすすめ書籍 75】エマニュエル・トッド『西洋の敗北』(文藝春秋)

歴史人口学者が注目する2つのデータがあります。①「乳幼児死亡率」では、アメリカはロシアより高くなっており、②「エンジニアになる若者の割合」がロシアに比べて非常に低くなっていることです。アメリカ社会の状態は良くなく、兵器を作るポテンシャルも低下しているようです。その理由として著者は西洋が飛躍的発展を遂げた基盤としての「プロテスタンティズム」が現代のアメリカにおいてゼロ状態となり、虚無的で退廃的になっていると説いています。
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【おすすめ書籍 73】山田真美『ノープロブレムじゃないインド体験記』(笠間書院)

世界の中で存在感を高め、アメリカ・中国に次ぐ大国になることが確実視されている国、そのインドの日常を本書で知ることができます。殺生を嫌うインド人の動物愛護のおかげなのでしょうか、インドには野良犬が多いようで狂犬病で毎年2万人以上亡くなっていたり、その3倍位の人がヘビに噛まれて亡くなっているようです。アパートの壁が突然ぶち抜かれたり、子の人生に介入しまくる親の存在だったり・・・。インド人の「ノープロブレム」には気を付けたほうが良さそうです。
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【おすすめ書籍 72】『くらしのやきもの図鑑ミニ』(マイナビ文庫)

全国の窯場、やきものの特徴など写真付きで基本情報が載っていることもあり、初心者から愛好家まで産地めぐりに必携の一冊となっています。金重陶陽、北大路魯山人ほか十人の昭和の名匠による作品はぜひ知っておきたいものです。マイナビ文庫の図鑑ミニシリーズは下学上達(かがくじょうたつ)に絶好な入門書であることをあらためて気づかされます。
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【おすすめ書籍 71】北大路魯山人『春夏秋冬 料理王国』(中公文庫)

唯一無二の芸術家北大路魯山人は料理人、美食家にとどまらず料理を載せる器にも拘り、陶芸家としても大成(織部焼の人間国宝に指定を打診されましたが、辞退)しました。わが国の美食家による料理談義やフランス料理に対する痛烈な批判精神は、我が道をゆく孤高の名匠だからこそ発することができたのでしょう。本書は至高の食エッセイと呼ぶに相応しい一冊です。
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【おすすめ書籍 74】永田和宏『知の体力』(新潮新書)

インプットされた一次情報にどのような係数をかけて、実際の場面で応用可能な情報に置き換えるか、その情報活用能力こそ、「知の体力」ということのようです。本書の中で木村敏の『時間と自己』をバイブルとして紹介しているので、ぜひこれを機会にこちらも読んでおきたいものです。高校生あるいは大学生の必読書として、またその親たちにも一生ものの思考力を本書は啓蒙してくれます。
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【おすすめ書籍 73】松岡正剛『知の編集工学』(朝日文庫)

追悼松岡正剛さん。本書は「編集は人間の活動にひそむ最も基本的な情報技術である」というテーマで展開されています。情報の動向については三つの見方を示されています。「情報は生きている」ということ、「情報はひとりではいられない」ということ、そして「情報は途方にくれている」ということです。著者の原点である本書を入口に『情報の歴史』『情報の歴史を読む』と読み進めて、編集作業のワクワク感を追体験したいものです。
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【おすすめ書籍 72】東浩紀『訂正する力』(朝日新書)

訂正する力はヨーロッパの哲学から導き出した概念ですが、それは日本の文化的なダイナミズムを表現する言葉でもあるようです。日本はじつは「訂正できる国」だった。ひとつの正しさに向けて突っ走るのではなく、たえず自己ツッコミを向ける国であり、たえず政治を脱構築する国だった、と説いています。2024年新書大賞第2位の本書は訂正する力で閉塞感のある現状を打破するための最良のテキストです。
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【おすすめ書籍 71】『アメリカ50州がサクッとわかる本』(KAWADE夢文庫)

アメリカを知るには、まずは50の州というそれぞれが異なるパーツを理解することが肝要のようです。建国13州を含め50州には歴史的背景があり、地理的条件も違いますので、主たる産業も支持する政党などの政治風土も独自色が強いことが特徴です。州というよりひとつの国のようで、アメリカ合衆国の巨大さをあらためて知ることができます。トランプが2期目の大統領に就任しますが、大統領選を機会に読んでみました。
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【おすすめ書籍 70】『キネマ旬報の100年』(キネマ旬報社)

本書の内容は、過去の選りすぐりの記事の「アーカイブス」と関係者へのインタビューや寄稿による「キネマ旬報のメイキング」の2本立てになっています。巻頭の表紙でふりかえる100年を始め、どの誌面からも映画愛が伝わってくる構成で、1頁1頁を時間をかけて丹念に読んでいきたくなる出来映え。永久保存版として多くの映画ファンに読み継がれていく、キネ旬会心の一冊です。ぜひ。