読書三昧 【おすすめ書籍 31】エルンスト・H・ゴンブリッチ『美術の物語』(河出書房新社) 初版から70年の間、16回もの改訂が繰り返された本書は、35カ国で翻訳されて世界一売れている(累計800万部)美術史の本です。国内でもNHKの番組「あさイチ」や月刊文藝春秋で原田マハが推薦して、昨年驚異的に売れました。ゴンブリッチ先生の授業が8,500円とはお値打ち。原田マハに倣って「序章から読み込むだけ読み込んで」みましょう。 2023.02.11 読書三昧
読書三昧 【おすすめ書籍 30】クリス・ウィタカー『われら闇より天を見る』(早川書房) 原題は「WE BEGIN AT THE END」人は終わりから始める。無法者を自認している13歳の少女が過酷な運命に抗いながら、家族を守るために突き進む姿に心を揺さぶられます。英国推理作家協会賞最優秀長篇賞(ゴールド・ダガー賞)受賞の本作は、年末ミステリベスト『このミス』と『週刊文春』両誌の海外編(2022)で堂々の第一位です。ぜひ。 2023.02.08 読書三昧
読書三昧 【おすすめ書籍 29】東畑開人『聞く技術 聞いてもらう技術』(ちくま新書) 著者東畑開人は『居るのはつらいよ』(医学書院)で第19回(2019年)大佛次郎論壇賞受賞、紀伊國屋書店じんぶん大賞2020を受賞。出版界で大いに注目される臨床心理士であり、文藝春秋や新潮社からの単行本や本書も版を重ねています。「聞く力」だけではなく、それを支える「聞いてもらう力」も必要である、というコミュニケーションの循環こそが社会を良くする第一歩のようです。 2023.02.06 読書三昧
読書三昧 【おすすめ書籍 28】河合雅司『未来の年表 業界大変化』(講談社現代新書) 2017年の刊行以来、累計90万部突破の『未来の年表』シリーズの最新刊です。本書第一部では人口減少と少子高齢化が進む日本はまさに瀬戸際であり、各業界や職種にどんな未来が待ち受けているかを可視化しています。そして第二部では、人口減少に打ち克つための手順が提示されています。著者が示す「戦略的に縮む」とは・・・。 2023.02.05 読書三昧
読書三昧 【おすすめ書籍 27】ハン・ドンイル『教養としてのラテン語の授業』(ダイヤモンド社) 本書はラテン語の難解な文法を学習するための語学書ではありません。「Carpe diem カルペ・ディエム 今日に集中し、いまを生きろ」や「Do ut des ド・ウト・デス 与えよ、さらば与えられん」といった名言を読み解きながら、古代ローマ人からの叡智を授業さながら学ぶことができる人文書です。近年リベラルアーツを副題としている書籍の刊行が増えていますが、本書はその中で「真打ち登場」といった趣があります。 2023.02.04 読書三昧
読書三昧 【おすすめ書籍 26】ジェフ・フレッチャー『SHO-TIME 大谷翔平 メジャー120年の歴史を変えた男』(徳間書店) エンゼルス番記者による、ルーキーイヤーからの密着取材が一冊の本に纏まりました。今季の大谷翔平が、アリーグMVPを受賞した昨季より進化できた理由がこの本を読むとわかります。未来を引き寄せる夢ノートに「サイ・ヤング賞」「ノーヒッター」の記述もあり、その夢がそう遠くないと思わせる凄みを感じます。「ユニコーン(勇敢な伝説の生き物)」と現地で表現されることが多いショウヘイ・オオタニと同時代に生きることの悦びをあらためて実感しています。タカ大丸 訳。 2023.02.01 読書三昧
読書三昧 【おすすめ書籍 25】原田ひ香『ランチ酒 おかわり日和』(祥伝社文庫) 主人公祥子の仕事は「見守り屋」。夜勤明けで寝る前のランチ&お酒の時間が格別なひとときです。シリーズ第2弾の本書では、娘を含めた見守る人への接し方やその距離の取り方がさらに熟成されて、心地よい気分にさせてくれます。シリーズ第3弾が単行本で刊行されました。このシリーズのおかげかもしれませんが、昼食時にお酒を愉しむ人が増えているような気がします。 2023.02.01 読書三昧
読書三昧 【おすすめ書籍 24】石井光太『ルポ 誰が国語力を殺すのか』(文藝春秋) 「国語力」とは考える、感じる、想像する、表現するといった人間が生きていくうえで基礎となる力のことです。著者は現代の子供たちを取り巻く環境の中で、その国語力が失われている問題を前半部で提起しています。そして後半部では言葉を失った子供たちに「国語力」を再生させるために活動している人々の営みや子供たちの成長に画期的な成果をあげている学校教育者たちの挑戦を取材しています。 2023.02.01 読書三昧
読書三昧 【おすすめ書籍 23】木下是雄『理科系の作文技術』(中公新書) この本の序章に英国首相の座についたウィンストン・チャーチルから政府各部局長宛のメモが載っていることをご存じですか?そのメモには報告書は要点だけを簡潔にわかりやすく言い切れ、と書かれていました。世界大戦の当時から40年後の1981年に本書は刊行され、さらに40年。この指南書は、理科系に限らず文科系の学生やビジネスパーソンにも広く読まれています。累計100万部突破のロングセラーは、まさに「殿堂入り」の風格です。 2023.01.31 読書三昧
読書三昧 【おすすめ書籍 22】深緑野分『スタッフロール』(文藝春秋) 映画のエンド・クレジットが長尺になっている現代とは違い、戦後ハリウッド映画のスタッフロールは短く、栄誉を享受できていた映画人は限られていました。本書はその戦後の映画界で爪痕を残そうと奮闘した特殊造形師・マチルダの切なる想いが時空を超える、ウェルメイドな作品に仕上がっています。第167回直木賞候補作となった一冊。 2023.01.27 読書三昧