読書三昧 【おすすめ書籍 69】池井戸潤『俺たちの箱根駅伝 上・下』(文藝春秋) 箱根駅伝本選に出場できない16大学から16人が召集されて関東学生連合が編成されます。オープン参加で順位や記録は参考数字でしか残らないチームながら、一流企業での仕事に信じるものを失った男が監督として本気で勝負に挑みます。敗れざる者たちによる熾烈な競走を実況するテレビマンたちの矜持も本書の読みどころのひとつ。読みながら涙が止まらない俺たちの物語は、2024年ベスト作品です。 2024.11.17 読書三昧
読書三昧 【おすすめ書籍 68】『和田誠 映画の仕事』(国書刊行会) キネマ旬報の連載「お楽しみはこれからだ」の直筆原稿や、映画の名セリフ書き起こしノートなど多摩美術大学アートアーカイブセンターや国立映画アーカイブ所蔵の資料を中心に、和田誠の「映画」に関わる仕事のすべてがこの一冊にまとまっています。「麻雀放浪記」以来和田作品に多く出演した真田広之が自ら製作・主演した「SHOGUN 将軍」で2024年米国エミー賞で18冠の快挙。和田誠の限りない映画愛が真田広之を通して国境を越えています。 2024.11.17 読書三昧
読書三昧 【おすすめ書籍 67】鶴間和幸『始皇帝の戦争と将軍たち』(朝日新書) 著者は始皇帝をはじめとする秦漢史研究の第一人者です。毎年夏に映画公開も進み、『キングダム』ファンがさらに増えていく中で、タイムリーな企画です。始皇帝嬴政や李信など気になる登場人物の史実について知ることができますので、本書は『キングダム』の副読本としておすすめします。王齮、桓齮、李斯、蒙恬・・・。始皇帝と中華統一を支えた近臣集団の実像に迫ります。 2024.09.08 読書三昧
読書三昧 【おすすめ書籍 66】G・ガルシア=マルケス『百年の孤独』(新潮文庫) 本書は安部公房が「一世紀に一人、二人というレベルの作家」と評したノーベル文学賞受賞作家ガルシア=マルケスの代表作です。著者没後10年という節目に待望の文庫化となり、発売されるや完売店続出という反響は大きく、2024年夏の刊行は永く記憶されることでしょう。新潮社が用意した池澤夏樹監修の『百年の孤独』読み解き支援キットもおすすめです。ブエンディア家百年の物語をぜひ。 2024.09.08 読書三昧
読書三昧 【おすすめ書籍 65】三宅香帆 『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書) 読書とは自分から遠く離れた文脈に触れることであり、人を惹きつけるものです。しかし効率が優先される現代においては、この自分から離れた文脈は「ノイズ」と認識されてしまいます。全身全霊で働くほど、このノイズを頭に入れる余裕がなく本が読めなくなる、と説いています。著者は本書で提言しています。半身(週3勤務や兼業)で働ける社会、働きながら本を読める社会をつくることを。 2024.09.08 読書三昧
読書三昧 【おすすめ書籍 64】星野道夫『旅をする木』(文春文庫) 単行本の刊行が1995年8月。そして著者は96年8月に急逝しています。30年前に戻ることはできませんが、本書で著者が17年間住み続けたアラスカの息遣いをいまでも知ることができます。星野道夫の写真展開催など、いまも何処かで星野道夫の想いを繋いでいる人や時間が確実に存在しています。読書家でもある著者の名文をぜひ味わってください。 2024.09.08 読書三昧
読書三昧 【おすすめ書籍 63】宮嶋勲『最後はなぜかうまくいくイタリア人』(日経ビジネス人文庫) 「Carpe diem、カルペ・ディエム」とは「いまを生きる」という意味のラテン語です。イタリア人にはこの言葉が古代から沁みついているのでしょう。イタリア人にとってアポの時間とは努力目標ぐらいで、その時その時を一所懸命に生きるため、アポの時間に遅れがちになります。ルーズと思われますが、遅刻することもある意味ルールのようです。日本人やドイツ人の勤勉さの対極にあるイタリア人の寛容さが本書に満ち溢れています。 2024.07.14 読書三昧
読書三昧 【おすすめ書籍 62】『「RRR]で知るインド近現代史』(文春新書) 話題のインド映画『RRR』を観た人にとって、エンドロールの八人の肖像は印象的です。本書ではインド独立運動や民族運動で活躍したこの八人の「フリーダム・ファイター(自由の闘士)」について多くの頁を割いています。インドこそ「民主主義の母」と発信し、2022年にはインドGDPが米中日独に次いで世界第五位となり、遂にイギリスを抜きました。本書は大国となったインドの近現代史を知るための絶好の入門書です。 2024.07.07 読書三昧
読書三昧 【おすすめ書籍 60】宇佐美まこと『羊は安らかに草を食み』(祥伝社文庫) 満州からの引き揚げという苦難を体験した者たちの生涯隠し通した「秘密」とは。認知症になった友人の人生を辿る、八十歳前後の女性三人による旅と彼女が子供だった頃の満州からの引き揚げという2部構成で、その「秘密」が徐々に明らかになっていきます。本書では満州で育った人々から中国語のメイファーズという言葉が出てきます。悲しみを受け入れて前へ進むしかないことを意味する象徴的な言葉です。 2024.06.05 読書三昧
読書三昧 【おすすめ書籍 59】ラテン語さん『世界はラテン語でできている』(SB新書) 古代ローマ帝国の隆盛やラテン語が世界を席巻していたことの誇りがあるのでしょう。イタリアでは高校でラテン語を必須教科にしていることが本書を読むとわかります。「SPQR」「Audi」「VICTORIBUS PALMAE」「SINE METU」。現代の日本でも美術館や街中あるいは自宅の食卓でも、これらのラテン語を見かけることがあり、ちょっと豊かな気分に浸れます。教養としてのラテン語ブームはまだまだ続きそうです。 2024.04.13 読書三昧