【おすすめ書籍 43】池井戸潤『BT’63』(講談社文庫)

読書三昧

BTはBonnet Truckの略。ボンネットトラックとは、乗用車のようにエンジンが運転席前方のボンネットの中に収められているトラックのことです。1963年は著者の生まれた年でもありますが、当時の日本ではこのタイプのトラックやバスが走っていました。

本作は心を病み妻に去られた主人公が父の足跡を辿る現代の物語と、40年前の父の事業と愛する女性とその愛娘との出会い、そして「闇」が絡んでくる物語との二重構造で進んでいきます。主人公の自らの再生をかけてのひたむきな姿は父のそれとも重なり、読む者の心を揺さぶります。

いま書店の店頭では写真の通り『BT’63』のカバー、帯が刷新され、平積みされています。「いつも心の中にある大切な小説です」新帯の著者の言葉が響きます。

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