読書三昧 【おすすめ書籍 25】原田ひ香『ランチ酒 おかわり日和』(祥伝社文庫) 主人公祥子の仕事は「見守り屋」。夜勤明けで寝る前のランチ&お酒の時間が格別なひとときです。シリーズ第2弾の本書では、娘を含めた見守る人への接し方やその距離の取り方がさらに熟成されて、心地よい気分にさせてくれます。シリーズ第3弾が単行本で刊行されました。このシリーズのおかげかもしれませんが、昼食時にお酒を愉しむ人が増えているような気がします。 2023.02.01 読書三昧
読書三昧 【おすすめ書籍 24】石井光太『ルポ 誰が国語力を殺すのか』(文藝春秋) 「国語力」とは考える、感じる、想像する、表現するといった人間が生きていくうえで基礎となる力のことです。著者は現代の子供たちを取り巻く環境の中で、その国語力が失われている問題を前半部で提起しています。そして後半部では言葉を失った子供たちに「国語力」を再生させるために活動している人々の営みや子供たちの成長に画期的な成果をあげている学校教育者たちの挑戦を取材しています。 2023.02.01 読書三昧
読書三昧 【おすすめ書籍 23】木下是雄『理科系の作文技術』(中公新書) この本の序章に英国首相の座についたウィンストン・チャーチルから政府各部局長宛のメモが載っていることをご存じですか?そのメモには報告書は要点だけを簡潔にわかりやすく言い切れ、と書かれていました。世界大戦の当時から40年後の1981年に本書は刊行され、さらに40年。この指南書は、理科系に限らず文科系の学生やビジネスパーソンにも広く読まれています。累計100万部突破のロングセラーは、まさに「殿堂入り」の風格です。 2023.01.31 読書三昧
休日ワイン 【おすすめワイン 4】ワイングラス編 ワインを楽しむ時に、それがデイリーワインの場合と特別な記念日ワインとで使うグラスを変える人は多いと思います。時にはデイリーワインであっても、グラスを普段のものと変えることでちょっと贅沢な気分になれて、いつもより美味しいと感じることが少なくありません。気分を味わうだけではなく、そのワインの良さを引き出すためのワイングラスでもあります。 2023.01.27 休日ワイン
読書三昧 【おすすめ書籍 22】深緑野分『スタッフロール』(文藝春秋) 映画のエンド・クレジットが長尺になっている現代とは違い、戦後ハリウッド映画のスタッフロールは短く、栄誉を享受できていた映画人は限られていました。本書はその戦後の映画界で爪痕を残そうと奮闘した特殊造形師・マチルダの切なる想いが時空を超える、ウェルメイドな作品に仕上がっています。第167回直木賞候補作となった一冊。 2023.01.27 読書三昧
休日ワイン 【おすすめワイン 3】 サンジョヴェーゼ テッレ・デリ・オシ イタリア料理店「サウザンシーズン」でお気に入りのワインです。暑い日には赤ワインながら冷やしてあるものを勧められ、飲んでみたところ、とても美味しかったことを覚えています。生産者はディマーヨ・ノランテ。「サウザンシーズン」はブドウが店頭に出る頃の季節限定でありますが、ブドウ(2種)のピザがメニューに加わります。なかなかそのタイミングが難しいのですが、やみつきになります。 2023.01.25 休日ワイン
読書三昧 【おすすめ書籍 21】チャールズ・M・シュルツ『心をととのえるスヌーピー』(光文社) スヌーピーの漫画『ピーナッツ』を読みながら、「和敬静寂」「日々是好日」などの禅語の言葉を学ぶことが出来る本書は、10万部を超えるベストセラーになっています。ストレスが少なくないコロナ禍のいま、心を整えることの大切さに気づかされます。著者・訳者谷川俊太郎に加え、監修者枡野俊明の三拍子が揃い、思索的興趣が尽きません。 2023.01.24 読書三昧
読書三昧 【おすすめ書籍 20】エマニュエル・トッド『第三次世界大戦はもう始まっている』(文春新書) ウクライナは「核家族」社会で、欧米のように個人主義、自由主義を重んじるのに対して、ロシアは「共同体家族」の社会で、権威主義を重んじており、ウクライナは家族システム的に西側である、と著者は見ています。またロシアによるウクライナ侵攻に対する世界各国の反応を分類した地図が、研究テーマである「家族システム」からみた世界地図と酷似しているなど、人類学的視点が興味深い一冊です。 2023.01.24 読書三昧
休日ワイン 【おすすめワイン 2】アマローネ デッラ ヴァルポリチェッラ クラッシコ 濃厚な甘い香りが際立っています。陰干しぶどうで造られるイタリアヴェネト州のDOCGワイン。ブドウの品種はイタリア固有のコルヴィーナ、ヴェロネーゼ、ロンディネッラ、モリナーラを使用。生産者はルイジ・リゲッティ。輸入業者は「稲葉」。コスパ秀逸なアマローネをお愉しみください。 2023.01.22 休日ワイン
コラム 【コラム 1】週休3日で「潤沢さ」を享受 斎藤幸平氏の『人新世の「資本論」』は刺激的な一冊である。晩年のマルクスの思考・思想を研究し、その全体像に迫る著者ならではの切り口で現代の気候変動と資本主義の関連について言及し、新たな社会システムの転換を提言している。気候変動の課題を解決し、世界で豊かさを享受する社会にするには、マルクスの『資本論』を解説しながら、1%の富裕層による資本主義社会から、脱成長コミュニズムへの転換が必要だと99%の市民に訴えている。 2023.01.22 コラム雑記ブログ