先日のNHKおはよう日本のおはBizコーナーで「共助資本主義」という言葉を知った。木曜・金曜担当の神子田キャスターが経済同友会の新しく代表幹事になるサントリーHDの新浪剛史氏に取材し、その抱負を語った中で出てきた言葉であった。
資本主義を進めていく先には格差問題がある。この問題を放置することなく、互いに思いあう経済社会を築いていきたい、というものだ。政界ではなく経済界から出てきた言葉だけに注目していきたい。ネットで新浪氏の経済同友会の代表幹事就任挨拶のスピーチを調べた。以下がその「共助資本主義」に関するものである。
つながる・開く・動く 「共助資本主義」で、豊かでしなやかな経済社会へ <新浪剛史代表幹事就任挨拶>より抜粋
「私は、誰もが自らの信じるところに立って、等しく人生を切り拓く機会を与えられ、しかし、挑んだ結果、たとえ失敗しても、再び立ち上がることができるような社会にしていかなくてはならないと思います。しかし、その助けは、政府が国民を守るといった一方的なものだけでなく、人々がそれぞれを思い、補い合うようなものでもなければなりません。私たち企業もその輪に加わる必要があります。結果として、人々が、豊かな文化的土壌のもと、誰一人取り残されることなく、それぞれの生き方が尊重され、互いに思い合い、喜びを分かち合える社会――私はこれを「共助資本主義」と呼んでいます――この共助資本主義が、人々の営みの根底を支える経済社会を作り上げたい。目指すのは決して80年代のeconomic animalのような経済社会ではありません。成長と共助がともに両立したwell beingをもたらす、そんな経済社会をイメージしています。豊かな精神土壌を育んできた私たち日本には、そのモデルを世界に先駆けて作り上げる力があると私は信じています。助け合う社会を作るということは、我々の企業に甘えを許すことではありません。この「共助資本主義」の前提には、前にお話ししたように成長がなければなりません。そのために企業には、人的資本に投資しつつ絶えずイノベーションを起こすことに挑み、自らの事業構造を組み替え、企業価値を向上させ続けることが求められます。その活力を生み出せず、変化に対応できなかった企業は退場を余儀なくされることもあるでしょう。企業経営がその厳しさと向き合うことを前提にしながら、しかし、働く人たちには等しくチャンスが与えられ、失敗しても、助け合いながら何度でも立ち上がれるような仕組みが必要です。私は、そんな社会を生み出すために心血を注ぎます。」
またYouTube PIVOT公式チャンネルでの佐々木紀彦氏との対談もありましたので、こちらもチェックしました。この中で、新浪氏は資本主義には3つタイプがあると語っています。①資本主義は市場に任せる、アメリカ型②社会の安寧を重視した日本、フランス型③民主国家ではない中国型資本主義と分類されています。資本主義が引き起こす様々な課題に対して、企業がNPO、NGOと協力しながら社会を包摂化していこうとする「共助資本主義」について独自のビジョンを示しています。若い方々にぜひ視聴していただきたい内容です。
非正規雇用の増大が顕著なように、日本は会社も社会も極めて近視眼的なものの見方が主流となってしまっているのが現状です。新浪氏が話す現状(ステータスクオ status quo)維持の殻を破ることが、課題を解決し、社会を活性化させ、そこにビジネスチャンスも生まれてくるという話は興味深く、今後の経済同友会、新浪剛史の発信には要注目です。社会問題に貢献する企業や起業家であるソーシャルアントレプレナーの更なる出現、活躍に期待しましょう。
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