【おすすめ書籍 84】河野龍太郎・唐鎌大輔『世界経済の死角』(幻冬舎新書)

読書三昧

『日本経済の死角』の河野龍太郎と『弱い円の正体 仮面黒字国日本』の唐鎌大輔という人気エコノミスト2人による対談が実現しました。昔は世界情勢が危なくなるとドルとともに円も買われたという「有事の円買い」もいまはなく、円が普通の通貨になったようです。

トランプ大統領が基軸通貨の途方もない特権を振りかざせば、新興国含め世界はかつてケインズが提唱した国際決済通貨「バンコール」を導入・・・。となれば、ドルの優位性が消え、米ドルの信認の傘の下にある円も日本国債の需要も低下してしまうことに言及しています。

本書ではジョン・ロック以前の「自由」とは「欲望に振り回されないこと」で、古代ギリシャではその自由を得るための学問が「リベラルアーツ」と説明していたところに注目しています。現在ではリベラルアーツとは「教養」と訳されていますが、「欲望から自由になる営み」という意味で、重視していきたいものです。そこに脱成長の中で、持続可能性のある幸福度を高めていくヒントがありそうですから。

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